判定基準と計算方法
このページは、「実家の損得診断」がどのような基準で判定し、どのような式で金額を計算しているかを公開するものです。判定の根拠・計算の前提・数値の出典・更新の方針をまとめています。
この診断がすること
- 空き家の3,000万円特別控除の可能性判定:国税庁の公式チェックシート(福岡国税局)に準拠した設問で、控除が使える可能性を3段階で表示します。
- 期限の計算:「相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日」と制度期限(2027年12月31日)のうち早い方を期限として、残り日数を表示します。
- 10年の損得比較:「今すぐ売る」「解体してから売る」「持ち続ける」の3案について、10年間の概算収支を幅(レンジ)で表示します。
この診断がしないこと
- 税額の確定計算や、申告のための正式な計算はしません。すべて概算・参考情報です。
- 個別の税務相談・法務相談には応じません(税理士法・司法書士法により資格者の業務と定められているためです)。最終判断は税務署・税理士・法務局・司法書士にご確認ください。
- 物件の査定はしません。売却見込み額はご自身に選んでいただいた価格帯にもとづきます。
- 回答の保存・送信はしません。回答はお使いの端末内でのみ処理されます(詳細はプライバシーポリシー)。
- 相続放棄・相続土地国庫帰属・賃貸の本格的な判定は現在の版では扱いません。該当しそうな場合は、期限や注意点の警告と専門家への案内のみ行います。
判定結果の3段階
| 表示 | 意味 |
|---|---|
| ○ 使える可能性が高い | ご回答の範囲で、主な要件に当てはまっています。ただし断定はしません。売却の時に確定する要件(売り方の条件・市区町村の確認書・確定申告など)が残るためです |
| △ 要確認 | 「分からない」の回答や、書類・事実関係の確認が必要な論点が残っています。確認できる書類とあわせて表示します |
| ✕ 対象外(または対象外の可能性が高い) | 要件を満たさないと判定した状態です |
✕の中でも表現を分けています。建築時期・区分所有の登記・期限・相続後の用途のように客観的な事実で確定するものは明確にお伝えします。生活の本拠・施設入所の要件・売却相手との関係のように事実認定によって結論が変わり得るものは「可能性が高い」という表現にとどめ、確認先を案内します。
また、✕でも診断を終わりにしません。控除の対象外でも、売却額と保有コストの比較や、取得費加算の特例(後述)など、次に確認できることを必ず提示します。
控除判定で確認していること
空き家の3,000万円特別控除(租税特別措置法35条3項)について、国税庁のチェックシートを骨格に、次の要件を設問で確認しています。
- 制度期限:売却(予定)日が2027年12月31日以前であること
- 取得の範囲:建物と土地(借地の場合は、土地を借りる権利)の両方を相続で受け取っていること
- 3年期限:相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却すること。制度期限と比べて早い方が実際の期限になります
- 建物の登記:区分所有建物として登記されていないこと(分譲マンションは対象外)
- 建築時期:1981年(昭和56年)5月31日以前に建築されたこと。1981年築の場合は年だけでは判定できないため、登記事項証明書の日付での確認を案内します
- 直前の居住:亡くなる直前、被相続人がその家で一人で暮らしていたこと。老人ホーム等に入所していた場合は、家を離れる直前に要介護・要支援認定などを受けていたか、施設の種類、その後の家の使われ方によって、例外的に対象になります
- 初回の適用:同じ方の相続でこの特例を使うのが、あなた自身にとって初めてであること
- 売却の相手:配偶者・直系のご家族(親・祖父母・子・孫)・生計を共にする親族・売却後にその家で同居する親族・支配関係のある会社など、特別の関係がある相手への売却でないこと
- 売却額の合計:対象期間内の売却額の合計(ご家族が売却した分を含む)が1億円以下であること
- 売り方:次のいずれかであること。①売る時点で耐震基準を満たした状態で家屋付きのまま売る ②取り壊して更地で売る ③そのまま売り、買主が譲渡の翌年2月15日までに取壊しまたは耐震改修を実際に完了する(売買契約書への特約は法律上の要件ではありませんが、買主の実行を担保するため入れておくのが実務的です)
- 相続後の使い方:相続の時から売却の時まで、事業・貸付け・居住に使っていないこと。家賃を取らずに親族を住まわせた場合も貸付けに当たります。一方、自分の車や荷物を置いていただけの場合は、直ちに対象外にはなりません
- 控除額:建物と土地の両方を相続で受け取った人が3人以上の場合は、1人あたりの控除額が2,000万円になります(2024年1月1日以後の売却)。それ以外は3,000万円です
このほか、取得費加算の特例(相続税を納めたご本人が、相続開始から3年10ヶ月以内に売却した場合に使える別の特例)との関係を確認しています。空き家特例とは原則としてどちらか一方の選択適用のため、あなた自身に相続税が課されている場合は、両方を比較したうえで税理士への相談を案内します。
要件の詳しい解説と書類の集め方は、空き家の3,000万円特別控除チェックリストで公開しています。
10年比較の計算方法
比較する3案
- ① 今すぐ売る:古家付きのまま売却した場合の手取り概算
- ② 解体してから売る:解体費を負担して更地で売却した場合の手取り概算
- ③ 持ち続ける:10年間の保有費用の合計。売却額そのものは含めていません(10年後の価格は予測できないため)。出ていく費用と、期限切れで失われる控除だけを積んでいます。10年後も家は残るため、①②と単純には並べられないことを結果画面にも明示しています
計算式(すべて概算・幅で表示)
手取りの概算:
売却見込み額 − 仲介手数料(概算) − 税額(所得税・住民税等の合計)
税額の概算:
課税対象の利益 = 売却額 − 取得費 − 譲渡費用 − 特別控除(3,000万円または2,000万円)
税額 = 課税対象の利益 × 税率(長期20.315%・短期39.63%)
- 取得費:購入時の金額が分からない場合は、売却額の5%(概算取得費)で計算します。購入金額が分かる場合も、実際の申告では手数料の加算や減価償却の控除が入るため、「売却額の5%」から「購入金額」までの幅で計算します
- 税率:相続した不動産は被相続人の取得時期を引き継ぎます。取得時期が古ければ長期(20.315%)ですが、取得時期が最近または不明の場合は、長期から短期(39.63%)までの幅で計算します
- 仲介手数料:宅地建物取引業法の報酬上限で概算し、幅の下限は0円としています(このほか売買契約書の印紙代などの費用がかかります)
- ②の解体費:税金の計算では、売却のための取壊し費用の全額を譲渡費用として差し引きます。手元のお金の計算では、補助金を差し引いた実負担額で数えます
- ③の「控除の失効」:期限を過ぎた場合に増える税額を、名目の控除額ではなく実際の税差額(課税対象の利益と控除額の小さい方 × 税率)で計上します。長期譲渡で控除が満額効いた場合、約609万円(2,000万円控除では約406万円)に相当します
- ③の将来の解体費:将来の補助金制度は不確実なため、補助金は見込まずに計算します
- 金額の表示:すべて概算・幅つきで、千円未満は切り捨てて「約◯万円」の形で表示します。1つの数字での断定(点推定)はしません
固定資産税の前提
- 住宅が建っている土地には住宅用地特例があり、固定資産税の課税標準は200㎡以下の部分が評価額の6分の1、200㎡を超える部分が3分の1になります(都市計画税はそれぞれ3分の1・3分の2)
- 建物を解体して特例が外れた場合でも、負担調整措置により課税標準は評価額の70%が上限です。200㎡以下の部分の税額は、本則で比べた計算上の目安で約4.2倍にとどまります(都市計画税・200㎡を超える部分・前年度からの負担調整により、実際の倍率は上下します)。あわせて家屋分の税額が消えるため、総額の増え方はこれより小さくなるのが普通です。実際の数字での検証は固定資産税の検証記事で公開しています
- 固定資産税は毎年1月1日(基準日)の状態で1年分が決まります。解体の時期が年をまたぐかどうかで、その年度の税額が変わります(1月1日時点で住宅として使用できる状態であることが前提です)
使っている主な数値
| 項目 | 使っている値 | 主な根拠 |
|---|---|---|
| 特別控除額 | 3,000万円(取得した相続人が3人以上の場合は2,000万円) | 国税庁 No.3306 |
| 税率(長期譲渡) | 20.315%(所得税・復興特別所得税・住民税の合計) | 国税庁 |
| 税率(短期譲渡) | 39.63%(同上) | 国税庁 |
| 概算取得費 | 売却額の5% | 国税庁 |
| 固定資産税 | 標準税率1.4%(都市計画税は上限0.3%) | 地方税法 |
| 住宅用地特例 | 課税標準を6分の1(200㎡以下)・3分の1(200㎡超) | 地方税法 |
| 負担調整措置 | 非住宅用地の課税標準は評価額の70%が上限 | 地方税法・自治体資料 |
| 解体費の目安 | 木造30坪の本体工事で約93万〜132万円・付帯工事込みの実例で約122万〜260万円 | 実績見積データ |
| 解体補助金の目安 | 補助率1/3〜1/2・上限50万〜150万円が中心(自治体により大きく異なる) | 各自治体の要綱 |
| 仲介手数料の上限 | 売却額の3.3%+66,000円(税込)。800万円以下の空き家等は、依頼者への説明と合意を条件に税込33万円が上限 | 宅地建物取引業法の報酬規程 |
| 制度期限 | 2027年12月31日 | 租税特別措置法 |
各数値は、出典URLと確認日をサイト内の数値台帳で1件ずつ管理しています。フッターに表示している「診断の制度数値・最終確認日」は、この台帳の確認日です。
主な一次情報:
- 国税庁 No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例
- 国税庁 No.3307 被相続人が老人ホーム等に入所していた場合
- 国税庁福岡国税局 公式チェックシート(令和6年分用)
- 国税庁 No.3267 相続財産を譲渡した場合の取得費の特例
- 国土交通省 空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除
「分からない」の扱い
- すべての設問に「分からない(あとで確認する)」を用意しています。分からなくても診断は止まりません
- 「分からない」と答えた項目は、結果画面に未確認の項目として、確認できる書類(どの書類のどの欄を見るか)とあわせて一覧表示します
- 金額の計算では、「分からない」は安全側に倒します。不利になり得る場合を含んだ幅で計算し、幅を狭める見せ方はしません
- 未確認の項目が3件以上ある場合は、幅が広くなっている旨と、書類を確認すると精度が上がる旨を表示します
例外と限界(診断だけでは確定できないこと)
- 市区町村の確認書:控除の適用には「被相続人居住用家屋等確認書」の取得と確定申告が必要です。交付の要件・日数は市区町村によって異なります
- 借地の場合:土地を借りる権利も対象になり得ますが、契約内容の確認が必要なため、税理士への確認を案内します
- 店舗併用住宅:居住用部分に限った適用や、特例の部分ごとの使い分けがあり得るため、税理士への確認を案内します
- 老人ホーム等に入所していた場合:施設の種類・認定の状況・家の使われ方の時系列で結論が変わり得ます。書類での確認を前提にしています
- 共有と1億円の合算:特例の適用後でも、対象期間内(それぞれの売却から3年目の年末まで)に売却額の合計が1億円を超えると、遡って対象外になり、超えることとなった売却の日から4ヶ月以内に修正申告と納税が必要です。診断では将来の売却まで確定できないため、警告として表示します
- 生活の本拠などの事実認定:「主として住んでいた家かどうか」などは総合的な判断のため、診断では確定しません
- ほかの特例との関係:取得費加算の特例とは原則どちらか一方の選択適用、ご自宅を売ったときの3,000万円控除とは同一年内で合計3,000万円が上限など、組み合わせの判断は個別性が高いため、該当しそうな場合は税理士への確認を案内します
更新の方針
- 数値台帳の全項目を四半期ごとに点検し、一次情報のURLと数値を確認します。確認日はフッターに表示しています
- 毎年12月に税制改正大綱を確認し、制度期限(2027年12月31日)の延長・変更があれば反映します
- 判定の基準や計算方法に変更があった場合は、このページの版履歴に記録します
版履歴
- 2026-08-03:診断v1を公開(公開前に外部レビュー58項目の指摘を裁定・反映)
- 2026-08-05:公開後の再レビュー16項目を裁定し、設問ガイド・結果画面の文言を精緻化(判定の基準・計算方法の変更はありません)
- 2026-08-06:本ページを公開
このページについて
執筆・診断設計:山本 亮大(運営者情報)。本ページの内容は、国税庁・国土交通省などの一次情報にもとづいています。現時点では、税理士など有資格者による個別の監修は受けていません(監修を受けた場合は、この欄に監修者と範囲を明記します)。個別の適用可否・税額の最終判断は、税務署・税理士にご確認ください。